サンスクリーンのin vitro評価法の確立

 紫外線は,チミジンダイマーなどのDNA損傷を引き起こし,紅斑や黒化を生じさせる。その結果,DNA損傷の蓄積により皮膚ガンの要因ともなる。衣服やサングラスなどで覆うことができない部分は一般的に,サンスクリーン(日焼け止め)による紫外線防御が重要である。サンスクリーンの機能性は,主にUV-Bの指標としてSPFが,UV-Aの指標としてPAが用いられている。ところがこれらの評価法は,ヒトの生体を用いたin vivo評価法であり,最小10名の被験者により有効データを得られればよい。このようなin vivo評価法の欠点として,被験者の個人差,塗り方の再現性,目視による判定のバラツキや難しさ,試験中における発汗などによる紫外線吸収の影響などは避けられない。本研究では,サンスクリーンのin vitro評価法として,各種サンスクリーンの紫外線における吸収スペクトルを分光光度計により取得することで評価する方法を考案したので報告する。サンスクリーンを落とすための一般的なクレンジング剤中にサンスクリーンを懸濁し,分光光度計により紫外線の吸収スペクトルを得ることで,UV-B〜UV-Aにおける紫外線防止効果がどの程度あるのかという物性を評価することができた。また,独自の散乱光評価装置を考案し,サンスクリーンに含まれる酸化亜鉛や酸化チタンが,紫外線を散乱させていることを明らかにした報告する。

捨田利澪,國府田宏輔†*
茨城県立水戸第一高等学校生物同好会部〒310-0011 茨城県水戸市三の丸3-10-1
(2019年3月1日 受付;2019年3月28日 受理)