サリチル酸/メタノール系における安全なサリチル酸メチルの合成

 エステル化反応の代表的な触媒として濃硫酸がある。濃硫酸には酸触媒作用と脱水作用があり,エステル化反応において,その2つの作用は必要不可欠である。酸触媒作用はプロトンの働きによりエステル化を促進させ,脱水作用はエステルが生成される方向に平衡を移動させる。しかし,濃硫酸は扱いが難しく危険である。そこで本研究ではサリチル酸/メタノール系における安全なエステル化合成の確立を目的とした。その結果として,濃硫酸の代わりに身近な酸触媒と脱水剤の組み合わせとし,酢酸0.036 mol,脱水剤に硫酸マグネシウム0.018 molを用いることで,サリチル酸メチルの収率が約15 %と,安全性の高いエステル化反応を実現できることがわかった。

村山 泰眸,山口 悟†*
茨城県立水戸第一高等学校 化学部 〒310-0011 茨城県水戸市三の丸3-10-1
(2019年12月6日 受付;2020年1月7日 受理)