ドープ型ZnS:Mn2+ナノ蛍光体の蛍光メカニズムの解明

ナノクリスタル蛍光体(ナノ蛍光体)は,耐退色性と蛍光寿命に優れ,蛍光波長のチューニングが容易であることから,次世代のフォトニクス材料として注目を集めている。しかしながら, ナノ蛍光体の詳細な蛍光メカニズムは未だ明らかになっていない。そこで本研究では, ZnSを母体としMn2+をドープしたナノ蛍光体(ZnS:Mn2+ナノ蛍光体)を構成する各要素が蛍光メカニズムにどのように関与しているのかを評価した。金属塩のカウンターアニオンや金属カチオンの変更, また表面修飾剤であるラウリルリン酸の有無について, それらが及ぼす影響を, 分光学的な測定をもとに評価した。その結果, ZnSからMn2+へのエネルギー移動を経て蛍光する経路とは別に, ZnS自体が励起発光するメカニズムが示唆された。

鈴木 佳太,北村 崚,郡 涼太,山口 悟†*
茨城県立水戸第一高等学校 化学部 〒310-0011 茨城県水戸市三の丸3-10-1
(2020年5月1日 受付;2020年5月3日 受理)