世界初の乾電池開発に関する検証

 電池の歴史は紀元前2世紀に登場したバクダット電池から始まり非常に歴史の古い製品の1つである。電池の中でも特に汎用性の高い“乾電池”は現在においても色々な国々で性能向上を目的とし活発に研究開発が行われている。乾電池の歴史において、乾電池の開発者は日本の屋井 先蔵 氏とドイツのカール・ガスナー 氏が挙げられる。しかしながら、開発の時系列が文献によって異なっているため、どちらが先に開発していたのかが曖昧である。また、彼らが開発した電池ついての詳細な検証が行われていないため、これまでにあった電池と乾電池との違いがはっきりしていない。そこで本研究では、乾電池に関する文献を調査し、文献内容に則して実験で確認することで、乾電池開発に関する化学史の検証を行った。その結果、屋井氏とガスナー氏はそれまでの電池とは異なる乾電池の開発に成功していることがわかった。

武田 侑大,鈴木 暖人,山口 悟*
茨城県立日立第一高等学校 化学部 〒317-0063 茨城県日立市若葉町3-15-1
(2022年9月1日 受付;2022年9月28日 受理)