文房具店では様々な種類の糊が販売されている。その中でもスティック糊は,ケースや糊自体の色がとてもカラフルなものがたくさんある。しかしながら,かわいらしいカラフルな色付き糊はお店で見たことはあるが,男らしい黒色の色付き糊を見たことはない。そこで本研究では,初期段階として糊の中で最も構造が単純なチューブ糊である“でんぷん糊”に着目し,黒色付きでんぷん糊の作製方法の確立を目的とした。
色相環の補色の関係から,橙色と青色が補色の関係にあることが分かった。そこで,橙色として1,3,5-トリニトロベンゼンを用い,青色と橙色の2色で黒色付きでんぷん糊を作製した。今回用いた2つの指示薬の変色域は,それぞれ,チモールフタレインがpH 8.4~10.6,1,3,5-トリニトロベンゼンはpH 12.0~14.0であったので1.0 mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え,糊のpHを12.8に調整した。加えるpH指示薬の物質量をそれぞれ変化させると,チモールフタレインと1,3,5-トリニトロベンゼンが1:6の物質量(モル)比になったとき黒色になることが分かった。そこで,このモル比を保ったままpH指示薬の量を増やして,適切な色の濃さを決定した。
遠田 雄大†,山口 悟†*
†茨城県立水戸第一高等学校 化学部 〒310-0011 茨城県水戸市三の丸3-10-1
(2019年9月18日 受付;2019年9月30日 受理)