フルクトースの甘味は大きな温度依存性を示す。本研究では、NMRスペクトル測定と分子軌道法計算から、フルクトースの分子構造に着目し、それが甘味に与える影響について評価した。
フルクトースは5つの平衡構造をとることができる。1H-および13C-NMRスペクトル測定とRHF/6-31G(d)レベルの分子軌道法計算より、その5つの中で、-フルクトピラノース“-FP”および直鎖構造のフルクトース“CS-Fru”の生成比は非常に小さく、甘味には大きく関与しないことが示唆された。本研究より、フルクトースの甘味の大きな温度依存性は、甘味が最も大きいとされている-フルクトピラノース“-FP”の分子内の振動・回転運動が激しくなることによる、-FPの配座のわずかな変化に起因することが示唆された。
野内 陽向†、山口 悟†*
†茨城県立日立第一高等学校 化学部 〒317-0063 茨城県日立市若葉町3丁目15番1号
(2025年7月11日 受付;2025年7月31日 受理)