多価酸⇆1価塩基滴定曲線と酸塩基滴定における学術用語についての考察

 高校の化学基礎の教科書・資料において,“多価酸←1価塩基滴定曲線”は一部の資料に掲載されている。しかしながら,“多価酸→1価塩基滴定曲線”はどの教科書・資料にも掲載されておらず,その形状は明らかになっていない。本報では,実験とコンピューターシミュレーションから“多価酸→1価塩基滴定曲線”の形状を明らかにした。さらに,“多価酸→1価塩基滴定曲線”の形状を踏まえて,酸塩基滴定の単元で用いられる用語についても考察した。「第1中和点」,「第2中和点」よりも適当な用語として“中和の当量点”や“塩の当量点”という用語を提案したい。

西野光太郎,山口悟†*
茨城県立水戸第一高等学校化学部〒310-0011 茨城県水戸市三の丸3-10-1
(2019年3月1日 受付;2019年3月22日 受理)