界面活性剤の炭化水素基の構造が洗浄力に与える影響

 市販の洗剤などに含まれる界面活性剤は親油基と親水基から構成され,水と油をなじませる働きを有する。多くの界面活性剤の親油基を構成する炭化水素基には,単結合のみで構成される飽和炭化水素基と,いくつかの二重結合を有する不飽和炭化水素基が存在する。しかしながら,市販されている洗剤において,不飽和炭化水素基を含む界面活性剤はほとんど用いられていない。そこで本研究では,不飽和炭化水素基を含む界面活性剤であるオレイン酸ナトリウム,リノール酸ナトリウム,およびリノレン酸ナトリウムに着目し,洗浄力を評価した。その結果から,炭化水素基の分子構造,分子中の双極子モーメントの影響により,飽和炭化水素基を持つ界面活性剤の洗浄力は高まるため,市販の洗剤に幅広く利用されていることがわかった。

小泉 勇樹,山口 悟†*
茨城県立水戸第一高等学校 化学部 〒310-0011 茨城県水戸市三の丸3-10-1
(2019年5月28日 受付;2019年6月2日 受理)