日立製カラミ煉瓦の作製方法の考案

 日立市には日本を代表する銅鉱山である日立鉱山があった。そこでは銅の製錬時にカラミという副産物がたくさん出されていた。カラミから作られるカラミ煉瓦は、独特のガラス質の風合いがあり、見た目に荘厳さを有するため、全国各所の歴史的な建造物に用いられている。しかしながら現在、カラミ煉瓦は生産が途絶えてしまい、その作り方の詳細も分からなくなってしまった。
 日立市は日立製作所という世界的大企業の創業の地である。日立市の現状としては、分社化と子会社売却の影響もあり、日立市民の帰属意識の低下という意味で、衰退が深刻化している。また、日立市は人口減少や少子高齢化の問題を抱えており,市全体の活気がなくなってしまっている。そこで本研究では、日立市の活性化のための新たな産業の創出および持続可能な産業を意識した研究開発を行っていくという観点から、日立製カラミ煉瓦の作製方法を考案することを目的とした。
 SEM-EDX測定およびXRF測定より、カラミには非常に微量ではあるが硫黄やヒ素などの有害物質が含まれていることがわかった。そこで、日立市にあるカラミを利用したものでなく、新たな産業の創出という観点から日立市由来の原料と一部にリサイクル原料を使用することで、安全で既存のものと見た目の同じ日立製カラミ煉瓦を作製できた。

今野 馨琳,木村 菜々美,山口 悟*
茨城県立日立第一高等学校 化学部 〒317-0063 茨城県日立市若葉町3-15-1
(2022年8月22日 受付;2022年9月20日 受理)